11日目、ウィーンは外から眺める。シェーンブルン宮殿と50セントのビール
おはようございます。と言っても、もう午前11時です。
前の晩はブラチスラバからの列車が遅れて、ウィーンの地下鉄の終電でようやく帰ってきました。なので、この日はスタートが遅め。今日はゆったりウィーンを観光することにします。
まずは洗濯から。コインランドリーへ向かいました。

シェーンブルン宮殿の正面。広い前庭の向こうに黄色い宮殿が横に長く続く
洗うだけで、1,200円
トラムを待つあいだ、気づいたのは涼しさです。前の日より5度くらい低いでしょうか。体感では20度を切っていて、めちゃくちゃ心地いい。
コインランドリーの仕組みは、こうです。店内の端末で「洗濯」か「洗濯と乾燥」かを選び、使う洗濯機の番号を押して、支払う。カードも使えるので、便利といえば便利です。
ただ、値段を見て固まりました。乾燥なしの、洗うだけのコースで7.1ユーロ。1ユーロ170円くらいで計算すると、約1,200円です。ちょっと頭がおかしいくらい高い。もう一つ買っても、クリーニングに出しても、同じくらいなんじゃないか。日本の感覚だと、高くて参ってしまいます。
洗濯機が回っているあいだに、駅の近くのスーパーへ。前にいた人が、ペットボトルや缶をたくさん返却して、8.5ユーロくらいを受け取っていました。オーストリアでは2025年の1月から、使い捨ての飲み物の容器に1本25セントのデポジットがかかる仕組みが始まっています。空き容器を集めて、スーパーに持ってくる。そういう稼ぎ方もあるんだな、と感心しました。それだけの話で、オチはありません。
そのスーパーで、1ユーロくらいのカフェラテを買って飲んでみました。味は、安い牛乳の味。粉ミルクで割ったような、まずくしたコーヒー牛乳みたいな味がしました。まあ、安いし、こんなもんです。
32ユーロのザッハトルテ
出かける前に、スマホでメニューを見ていたお店があります。ザッハトルテ発祥のカフェです。ところがメニューには、コーヒーとザッハトルテのセットで32ユーロ。日本円にすると5,000円を超えます。高すぎでしょう。さすがに無理です。今日は外から見るだけにしよう、と決めて出発しました。
ウィーンは、博物館や美術館の入場料も高い街です。だからこの日は、中に入るかどうかは値段を見て決める。渋ければ入らない。そういう方針で、市内を歩きました。
地下鉄を乗り継いで中心部へ。最初に目に留まったのは、旧ウィーン大学の建物です。大学のキャンパスがこんな歴史的建造物なのか、とびっくりしました。調べてみると、この建物は1753年から55年にかけて建てられ、1884年に大学がリング通りの新しい本館へ移るまで、ウィーン大学の本館だったそうです。いまはオーストリア科学アカデミーが入っています。
近くには、ローマ帝国時代のウィーンの歴史を展示する「ローマ博物館」もありました。見たかったけれど、もう閉館が近いらしく、外から眺めるだけにしました。
スターバックスにも寄りました。窓の外には、王宮ホーフブルクのミヒャエル門が見えていました。門の脇の壁には、彫像の群れを従えた噴水が据えられています。チェーンのカフェの窓から、この景色です。

スターバックスの窓越しに見た、王宮ホーフブルクのミヒャエル門のあたり
夕方、ついにカフェ・ザッハーの前に来ました。立派なホテル・ザッハーに併設されたカフェが、ザッハトルテ発祥の店ということになっているみたいです。ザッハトルテは19世紀に菓子職人のフランツ・ザッハーが考えたもので、その息子エドゥアルトが1876年に開いたのが、このホテルです。
建物はめちゃくちゃ立派です。そして、お値段も立派。正直、ザッハトルテのために30ユーロ払う価値はない気がするので、入りません。外から見るだけにしました。
そこから、ウィーンでいちばんの繁華街らしき通りへ。人がとにかく多く、ブランドの店が集まっています。途中で見かけたのは、オーストリアの映画のアーカイブ施設。入口にはパルプ・フィクションのポスターが掛かっていて、ちょうど特集をしているようでした。めっちゃシャレています。
そして、カフェ・フラウエンフーバー。いまも営業を続けている中では、ウィーンで最も古いカフェとされる店です。モーツァルトやベートーヴェンが、実際にここで演奏したそうです。もちろん、ここも見るだけ。

ヒンメルプフォルト通りに面したカフェ・フラウエンフーバーの入口
ホテルに挟まれた、市民の公園
次に向かったのは、市民の憩いの場だという市立公園(シュタットパーク)。1862年に開かれた公園で、中をウィーン川が流れています。
ここで気づいたことがあります。公園の真ん中から見える建物はヒルトン。反対側にはインターコンチネンタル。ふたつの高級ホテルに挟まれた、なんとも高級な空間でした。市民の憩いの場ではあるけれど、この2つのホテルがそろっているということは、ここが一等地なのは間違いなさそうです。こういう基準で街を見るのも、おもしろいですね。
シェーンブルン宮殿は、想像の10倍
最後は、地下鉄でシェーンブルン駅へ。ここからシェーンブルン宮殿に向かいます。
駅を降りて歩き始めると、すぐに分かりました。とにかく、でかい。後ろからは観光バスが次々にやってきて、駐車場もだだっ広い。大勢の観光客が来ているんだろうな、と容易に想像がつきます。並木がまっすぐに整えられた道を歩いても歩いても、なかなか入口にたどり着きません。
シェーンブルン宮殿は、ハプスブルク家の夏の離宮だった場所です。部屋の数は、全部で1,441室。1996年には、宮殿と庭園がユネスコの世界遺産に登録されています。国の威信をかけて建てたんだから、それはでかいわけです。それにしても、広すぎる。

宮殿のテラスから見下ろした前庭。正門の方向へ石畳の広場が続く
この日は営業時間がもう終わっていて、宮殿の中には入れません。それでも、前庭にはすーっと入れてしまいました。有料の空間がどこからなのか、よく分かりません。
宮殿の中を見るなら、いちばんいいチケットで40ほどの部屋をまわれるそうです。そこには、6歳のモーツァルトが女帝マリア・テレジアの前で演奏したと言われる「鏡の間」も含まれています(隣の部屋だったという説もあるようです)。とはいえ、1,441室のうちの40室。全体の3%も見られない計算です。どれだけ広いんだ、この宮殿は。
広大な敷地の中には、動物園まであります。1752年にできた、いまも続く中では世界でいちばん古い動物園です。庭園は一日かけてもまわりきれないんじゃないか、という広さでした。

宮殿の入口。「Schlosseingang(宮殿入口)」の文字
入場料は、たしか30ユーロ以上。円安のいまだと、日本円で5,000〜6,000円になってしまいます。貧乏旅行にはさすがに無理だろう、ということで、閉まっていなくても入らなかったと思います。将来の自分がお金を稼いで、また来られるようにしよう。そういうことにしました。
モーツァルトを聴きながら、宮殿の前を歩きました。豊かな国だなあ、という、めちゃくちゃ適当な感想を抱きながら。帰り道、地下鉄の駅の入口がおしゃれなことにも驚きました。
50セントのビールで乾杯
帰りに、オーストリアでめちゃくちゃよく見かけるスーパー、ホーファーで買い出し。この日の夜は突然の雨にもあって、びしょびしょになりました。着ていた服も着替えるはめに。
この日の夜は、ささやかに宅飲みです。せっかくなのでビールは楽しみたい。買ったのは、カールスクローネというブランドのビール。値段は0.5ユーロ、つまり50セントです。合わせるのは、サラミと、人参の入ったハム。サラミは250円くらい、ハムは350円くらいでした。物価の高いウィーンでも、量から考えると、ハム類は日本より安いのかもしれません。主食がわりには、本場のプレッツェルを買いました。
缶を開けると、バッグの中で揺られていたせいで泡があふれました。気を取り直して、乾杯。サラッとした、水みたいなビールです。柑橘系の強いクラフトビールでもなければ、銘柄を当てる自信は正直ありません。そのくらいの舌ですが、おいしいです。
プレッツェルは塩気が強めで、ビールにとてもよく合います。サラミは、カルパスを薄く切ったような味。人参入りのハムは、これがめちゃくちゃおいしかった。
この日は、スタートこそ午後からでしたが、ウィーンの街をぐるぐる歩きまわりました。美術館や博物館には入らなかったけれど、街並みを見ているだけで、正直満足です。それくらい、街がきれいでした。
でも、なぜか落ち着くのは、郊外の何もない感じの場所なんです。中心部は物価が高くて、レストランに入ってメインと飲み物を頼めば、20〜30ユーロは確実にかかる。お金を払わないと幸せになれない感じがして、あまり好きじゃないかもしれません。ケバブやホットドッグなら5ユーロくらいで済ませることもできますが、毎回ストリートフードで済ませるのもなあ、という気持ちもあります。
それでも、シェーンブルン宮殿だけは、みんな一度は行ったほうがいい。マジでスケールが違います。想像の10倍はでかい。圧倒されて、人生観が変わるくらいです。
この日に出ていったお金:9,210円 50万円の残り:172,055円